2021年4月22日(木)
昼のオンライン座談会
【マスク座談会「ヘルパー雇用の体験談」】
◯ 高橋
皆さんこんにちは。e-jobの高橋と申します。本日は5名の方にヘルパーを雇用して良かったことや困ったこと、これからヘルパーを雇う方へのアドバイスなどをお話しいただきます。マスク座談会ということで、顔出しなし名前出しなしのぶっちゃけトークで、日頃のストレス発散とヘルパー雇用の情報交換ができればと思っています。
◯ Iさん(香港在住27年、インドネシア人も経験、雇用歴10年以上)
うちの家族は私と夫と娘の3人です。子どもを出産する少し前からフィリピン人のヘルパーさんを雇い始めました。子どもが生まれると思うようにできないことがあります。夫は出張でいないことも多く、かといって母に日本から何度も来てもらうわけにもいかないので、ヘルパーさんがいてくれてとても助かりました。私が仕事に復帰してからはヘルパーさんが子どものおばあちゃん代わりで、歌を歌ったり絵を描いたり、上手に楽しく遊んでくれました。
細かい話ですが、ヘルパーさんは地図が苦手な方が多いようです。待ち合わせをすると迷子になってしまうことが何度もありました。時間の感覚も違います。あるインドネシア人の方は、AMとPMを間違えてしまうので24時間制で教えてあげました。それでも間違えてしまいます。なぜこんなに簡単なことがと思うと、少しストレスを感じました。
驚いたことがあります。例えばどこでも同じ雑巾で掃除をするのです。トイレも一緒です。また、雑巾を床に置いて足で拭く方もいました。手で拭くように直してもらいましたが、私が見ていないとダメなようです。あとで子どもが真似をしていましたから。他にも朝髪を洗ってビショビショのまま仕事をしたり、シャンプーや香水の匂いがきつい方もいました。このようなことは多々ありますね。とにかく気付いたら細かく話すようにしました。
宗教の違いもあります。インドネシア人でイスラム教徒の方がいました。ラマダンの時は日中食事をしないのですが、何度か倒れてしまいました。外出中に近所の方に助けてもらったこともあります。ラマダンをやめてとは言えませんが、休憩を取りながら作業することなどを事前に話してあげれば良かったです。
子育て中の方へのアドバイスがあります。私は子どもの食事やお風呂、寝た時間などの記録をつけていますが、ヘルパーさんにも同じようにしてもらいました。結果として子どもが風邪をひいたときにも薬の飲み忘れもなくなりました。全体的に漠然と話すよりも紙に書くとうまくいくようです。
文化の違いに悪戦苦闘◯ Uさん(香港在住26年、雇用人数8人、雇用歴20年以上)
本日の発表者の中で唯一の男性です。うちは家内と子どもが2人の4人家族です。ヘルパーさんは、26年前に香港へ来た翌年から一昨年まで途切れることなく雇用してきました。私は出張のため家にいないことが多かったのですが、子どもが小さい頃は家内一人では大変なのでヘルパーさんがいてくれて安心できました。
良かったこと、裏返すと良くなかったことは、これまでお願いしたヘルパーさんのうち、何人か料理が得意なヘルパーさんがいて、おいしいフィリピン料理を楽しむことができました。料理のメニューはおまかせです。日本食を作ってもらおうと思ったことはありません。日本食を食べたことがない方に、上手に作ってもらうのは難しいと思うからです。そこで、あなたの国の料理で得意なものをとお願いしました。
印象深いのは、逃げるようにいなくなってしまった方です。彼女はギャンブルが好きでした。あとからわかったことですが、多くの方から少額ずつお金を借りていたのです。借りる際には偽名を使っていたので、返すつもりはなかったようです。それがトラブルとなり、私の二度目の警察経験となりました。
物を盗られたこともあります。これはやむ得ないことだと考えたほうが良さそうです。対策としては、盗られて困るものは表に出しておかないこと。私と家内用にそれぞれの金庫を用意し、大事なものはそこへ入れていました。
ヘルパーさんを雇う方へのアドバイスとしては、文化が違うということです。日本のように言わなくてもわかるということはありません。それがわかるまでは私も悪戦苦闘しました。以降は噛んで含むように細かく話をすることと、違うことはその場で言うようにしました。
Iさんのお話にあった地図が読めないヘルパーさんの件は、香港歴の長い方だと比較的道に慣れているので良いですよ。
約束ごとは契約時に伝える◯ Sさん(香港在住20年以上、スリランカ人も経験、雇用人数10人、雇用歴20年以上)
うちは子どもが2人の4人家族です。ヘルパーさんのおかげで家事の負担が軽減されました。上の子どもの習い事が始まると、その間に下の子の面倒を見てもらったり、子どもの一人が病気になったときなども助かりました。私も仕事をしているので、留守中に子どもを見てもらえるのも安心できました。
うちは休暇で1ヶ月ほど家を空けることがありますが、不在の時に家にいてもらえる。換気もしてもらえるし泥棒対策としても安心です。
また、フィリピン人の方は英語が話せるので、子どもに英語で歌を歌ってもらったり本を読んでもらえたのも良かったです。私は家事が上手な方よりも、子どもが好きな方を優先して採用していました。
苦労したことは、まず清潔に対する感覚が違うことです。手を洗うように何度も言わなければなりませんでした。掃除するときも床の洗剤と台所用の洗剤も一緒、タオルも雑巾も一緒になってしまいます。何度言っても覚えないので、水色は台所用、黄色は床用などと色分けの工夫をしました。
また、時間の感覚もわかりません。炊飯器のタイマーのセットも難しいほどで、紙に書いてあげました。
一番困ったことは決めたことを自分流に変えてしまうことです。ですので、たまに予定より早く帰宅してチェックするようにしています。
私が契約時に伝えることをご紹介します。まずお金は絶対に貸さないこと。給料の前借りもありません。毎月1日払いです。そして携帯に電話をしたら必ず出ること。仕事中は携帯をいじらないこと。フィリピンの方は音楽を聴きながら家事をする方が多いので、仕事中は音楽を聴かないこと。時間に遅れるときは必ず電話で連絡すること。このように必ず守ってほしいことは初めに伝えておくとスムーズです。
自己分析が大切でした◯ Yさん(香港在住12年、雇用人数4人、雇用歴9年)
うちはイギリス人の主人と12歳の息子、9歳の娘の4人家族です。娘が生まれる直前からヘルパーさんを雇い始めました。今のヘルパーさんは5年目ですが、それ以前は4年間で3人なので少し多いですよね。一人ずつお話しさせていただきます。
最初の方は40代でとても静かな方でした。フィリピンでは保母さんをされていたので、子どもの扱いが上手でした。1年ぐらい経ったある日、おつかいからなかなか帰ってこないので心配になりました。
電話をしてもつながりません。そして帰ってきた時はフラフラの状態でした。高血圧の薬を切らしてしまったそうです。びっくりして救急病院に連れて行くと、ドクターも驚くほどの数値だったようです。
二人目のヘルパーさんは友人の家のヘルパーさんのお姉さんで、ヘルパーの方を信頼していたので面接をせずに採用しました。一人目の方に厳しくし過ぎたかもしれないとの反省から、仕事は割と任せることにしました。彼女は仕事もテキパキとこなし、若くて元気で子どもたちも喜んでいました。
2ヶ月ほど経った頃でしょうか、ものすごい金額の請求がきました。7,000HK$を超えていたと思います。彼女に連絡用として渡していた携帯電話の請求です。明細を見ると私たちが不在の時間帯にフィリピンにかけ放題でした。国際電話をブロックしていなかったのは私たちのミスですが、まさか不在時にさぼって電話をするとは思ってもみませんでした。
電話代は毎月500HK$ずつ給料から引かせてもらうことになりましたが、その数週間後に彼女は突然いなくなりました。心配して電話すると、香港にいるお母さんの具合が悪くなり駆け付けたとのこと。でもそれは嘘であることがあとでわかりました。週末はいつもお母さんの看病を理由に外出していましたが、それも嘘でした。まだ若いので夜遊びをしていたようです。
三人目のヘルパーさんは50代の方にしました。この方はお友達の家で働いていたヘルパーさんで仕事ができる方でした。でも、仕事ができる方というのは細かいことを言われるのが好きではないようです。結論から言うと、数ヶ月で彼女から辞めたいと言われました。仕事のやり方について何か言うとムスッとしてしまい、家の中の雰囲気が重くなってしまうのがストレスでした。
今働いてもらっている4人目の方は物静かで優しい方です。彼女が来た頃は息子の手を引いて歩いていましたが、今は息子も彼女より大きくなりました。一緒に子どもたちの成長を見守ってくれる家族以外の人が身近にいることはすごく嬉しいことです。ヘルパーさんを雇って良かったことはそこかなと思っています。
ヘルパーさんを雇うときに大事なのは相性です。ですので自分のことを分析しました。4人目にしてわかりましたが、私は細かく言いたいタイプです。要領よく仕事ができることよりも、私の言ったことに素直に動いてくれるタイプの方と相性が良いんですね。今の彼女とはすごく相性が合っています。
ヘルパー雇用は人間力が必要◯ Tさん(香港在住24年、雇用歴1年)
うちはイギリス人の夫と子供の3人家族です。香港のヘルパー制度は便利そうだと思い1年間雇ってみましたが、私たちには合いませんでした。私たちは二人ともヘルパーのいる環境で育ったわけではないので慣れることができず、これは私たちの目指す子育てではないと思いました。結果的にヘルパーなしで子育てをすることに決めました。
もちろん良かったこともあります。疲れている時や体調が悪い時には本当に助かりました。人を雇うことでちょっぴりお金持ちの気分を味わうこともできました。
苦労したことは、家の中でヘルパーに対する愚痴が増えたことで雰囲気が悪くなってしまったこと。ヘルパーに頼るようになると彼女が体調を崩したときにオロオロしてしまい、いつの間にかヘルパーの体調管理が仕事のようになりました。ヘルパーを雇うことは人の人生を背負うことだと感じ、家族以外の人の悩みや困り事を抱えるのは人間ができていないとダメだと悟りました。
ヘルパーを雇う方へのアドバイスは、人として温かく接することで、子どもにどんな大人になって欲しいかを見せる良い機会になると思います。自分がヘルパーに接する姿を子供はよく見ているので、人に対する自分の態度を見直す機会にもなります。
ヘルパー雇用Q&A Q. 給与交渉はどうしましたか?A. うちは最低の金額でお願いしましたが、クリスマスやお誕生日には少し多めにあげています。給与交渉をされるのはベテランで仕事ができる方に多いようです。
Q. 買い物のレシートは提出してもらいますか?A. 毎回必ず提出してもらいます。
Q. 雇うときは何人ぐらい面接しますか?A. 5人~10人ぐらいです。
Q. ヘルパーの食事はどうしていますか?A. うちは食費を渡して本人に作ってもらいます。多めに作った家族の食事を分けてあげることもあります。健康面を考えてフルーツなどもあげています。