過去のイベント開催レポート「毎月22日 いいジョブの日」

2020年7月22日(水)

昼の座談会
【しくじり先生】
~私みたいにならないで~ 香港で離婚される前に

しくじり先生~私みたいにならないで~香港で離婚される前に

私はイギリス人と15年の結婚生活を終えて1ヶ月ほど前に離婚が成立しました。もちろん皆さんは結婚生活を継続できることに越したことはありません。でも、もしものために今日は私の失敗談をシェアさせていただきます。私はただの離婚経験者ですので、離婚の手続きについての正しい知識は、弁護士さん等にお尋ねいただくようお願いします。

私はおよそ1年半ほど時間をかけて離婚しました。国際結婚ということもあって、そもそもどの国の法律が適用されるのかもわかりませんでした。日本なら離婚届を出せば済みますので、日本で離婚できたらいいなと思いましたが、夫婦で香港に5年以上同じ場所に住んでいるということで、香港の法律が適用されました。夫婦とも日本人の場合は日本でも香港でも離婚することが可能なようです。

離婚に値する理由とは?

香港では夫婦のどちらかが香港人以外の場合は協議離婚は認められず、必ず離婚裁判を行う必要があるようです。離婚には明確な理由が必要で、認められる理由は5つです。一つ目は相手が不倫していて、共同生活に耐えられない場合。二つ目は配偶者の非合理な行為によって共同生活に耐えられない場合。暴力やハラスメントなどがこれにあたります。三つ目は連続して1年以上配偶者が責務を放棄している場合。四つ目は1年間合意の上で別居をしている場合。そして、五つ目は合意がなくても2年間別居している場合です。
我が家はunreasonable behaviour で離婚の申し立てをしましたが、最終的には1年間の合意の上の別居、の理由に書き換えられました。DVや浮気やunreasonable behaviourなどで離婚の申し立てをすることはできるのですが、立証が難しいまたは立証に時間がかかる場合が多々あるようで、1年または2年間の別居での離婚理由に書き換えられることが多いようです。香港は家賃が高いということもあって家庭内別居が認められています。寝具が別、というのが最低限の家庭内別居の理由のようです。

離婚するに値する理由とは
離婚するに値する理由とは

大まかな離婚の流れ

離婚するときに一番お金がかからないのは、合意書を作成して裁判所に届ける方法です。合意書は自分たちで合意までできるのであれば、合意書を作成して裁判所に届け出ればいいようですが、メディエーターという仲裁者が入ることが一般的です。裁判所でメディエーターを紹介していただくこともできますし、弁護士事務所から紹介いただくこともできます。費用はメディエーターの経験や資格によってさまざまです。
二人で合意するに至らない場合は、は裁判で争うことになります。弁護士費用は1時間あたり2,000HK$~8,000HK$ほどが相場です。弁護士には2種類ありまして、書類上の手続きをしていただく事務弁護士ソリシターと、裁判所に来ていただく法廷弁護士バリスタがいらっしゃいます。まず相談に行くのは、ソリシターですが、実際に裁判に行くとなるとバリスタを雇う必要もあり、金額はかさみ、最終的にかなりの金額を覚悟することになります。有名な弁護士事務所としてはWithers、Howse Williams BowersやHaldaneなどがあります。
裁判所での流れとしては、まず夫婦どちらかが離婚の申し立てをすると、コートヒヤリングがあります。そして、1ヶ月以内に財産をまとめたフォームEを提出します。これは香港だけではなく日本や国外にある預金、年金、株、土地、有価証券なども含めてすべて提出しますので、私の中では一番大変な作業でした。ですので、財産は前もって把握しておくと良いと思います。また、財産分与になると、中には財産を隠されるかたもいらっしゃるようです。話ができるうちに相手の財産も大体知っておくのがおすすめです。
次はフォームJです。これは子どもの養育についての項目です。どの学校に行くか、いつ誰の家に滞在するか、子どもが自分のところに滞在する予定日に、もし都合が悪くなった場合にどうするかなど、かなり細かく書類にします。これを弁護士が提出すると、養育に関してコートヒヤリングで戦います。その後、財産に関するコートヒヤリングを行います。このステップを終えると離婚が成立となります。

香港での親権争い

弁護士さんから最初に言われました。香港では親権を100%取るのは難しいと。香港での親権は50/50が基本です。子どもにとって親は2人とも大事という考えが前提となっているそうです。そこで、ケア・アンド・コントロールで優位を狙う方針をすすめられました。ケア・アンド・コントロールでは、子どもが母親・父親といつどのように過ごすか、ホリデーはどうするのかなど細かく決めていきます。お子さんの年齢が若ければ若いほど、母親のウエイトが大きくなるケースが多いようです。
日本人の男性は親権にこだわりが少ない方が多いようですが、イギリス人の夫はこだわりが強いので大変でした。私たちのように夫婦間で合意できない場合は、ソーシャルワーカーを入れて話し合いを行います。話し合いにはとても時間がかかります。私の場合は、子どもと父親とソーシャルワーカーで4時間、私と子どもとソーシャルワーカーで4時間、子供とソーシャルワーカだけで4時間、別途親とソーシャルワーカーの面談や学校の先生にもソーシャルワーカと話していただき、かなりの時間を費やしました。この話し合いの後に、ソーシャルワーカーが子供がどのように時間を過ごすのがベストかという提案書を出してくださり、この提案書に基づき、ケアアンドコントロールがきまります。

香港で離婚にかかる費用

費用のほとんどは弁護士費用です。私の弁護士は知人に紹介してもらったイギリス人の小さな事務所にお世話になりました。トップ弁護士ではなく、ジュニア弁護士に依頼しました。離婚の途中で、それぞれの弁護士事務所がフォームHという書類を裁判所に提出するのですが、そこには、現時点での裁判費用の見積もりが記載されています。私の場合、第一回のフォームHには、財産に関する費用が36万4,000HK$、親権に関する費用が15万2,000HK$、合わせて50万HK$以上の見積もりでした。旦那はトップ弁護士に依頼したので、費用は私の3倍ぐらいでした。
弁護士はこの見積もりをコートヒヤリングのたびに裁判所にフォームHとして提出します。裁判所はフォームEで提出した財産に対して費用が高い場合は、和解をすすめてきます。私たちも和解を推奨されました。ちなみに私のケースが一番安い弁護士費用だと思っていただいても良いと思います。金額はあくまで途中の見積もりですから、話し合いが長引くほどかさんでいきます。夫婦で妥協点を決めて、弁護士には手続だけやってもらうぐらいで進められると費用を抑えることができます。
香港では資金力がない方のために政府がリーガルエイドサービスを用意しています。無料にはなりませんが、貯金額などに応じて補助してもらえます。申請は途中でもできますが書類の作成が大変なので、目安として資産が300万円以内の場合は、初めから同時進行で申請しておくのがおすすめです。私は最終的に使えませんでしたが、申請だけはしておきました。

私の離婚条件

財産に関しては、基本的には、二人の財産を合算して半分にするのが香港では一般的です。養育費に当たるのは、メンテナンスフィーと呼ばれ、子供一人に対していくらのメンテナンスフィーという風に決めていきます。奥さんに対するメンテナンスフィーは、少なくとも1ドルでもいいので、必ずもらっておくようにと言われました。1ドルでももらっておくと、後で交渉の余地があるそうです。私はこの交渉には失敗し、私に対するメンテナンスフィーはゼロになりました。
養育費の支払い期間は子どもが18歳までか、フルタイムエデュケーションが終わるまでが一般的です。我が家は最後の最後まで揉めましたが、弁護士が頑張ってくれたのでフルタイムエデュケーションが終わるまでになりました。これで子どもがもし大学院へ行くことになってもある程度安心できます。
こうして私は離婚を経験することになりましたが、できることなら離婚しないほうが良いとおもいます。でも、どうしても離婚される場合は、香港で離婚するほうが良いと個人的には思います。理由は、日本では離婚後に慰謝料や養育費を払わないケースがあると聞きますが、香港では法的強制力があるからです。従わない場合は相手を訴えることができる。主婦の立場からすると、香港のほうが有利な立場で離婚ができます。
以上で終わります。いろいろなケースがあり、一様に同じとは思いませんが、一体験談としてお話しさせていただきました。詳しくは、弁護士事務所にご確認ください。ありがとうございました。

お問合せ

contact us

メールメールでお問合せ

お問合せフォームはこちら

求職中の方も、人材をお探しの方も
お気軽にお問い合わせください。

WhatAppWhatAppでお問合せ

68509300
WhatAppをご利用の方は、こちらの番号から
お問合せください。

WhatAppLINEでお問合せ

QRコードで検索

QRコード

IDで検索

@e-job