過去のイベント開催レポート「毎月22日 いいジョブの日」

2019年9月23日(月)

昼の座談会
【緊急対談!子供の進学を考える】

緊急対談!子供の進学を考える

香港には、多岐にわたるバックグラウンドをお持ちの方や、日本に進学するお子さまも多くいらっしゃいます。私たちのepis Education Centreは、ざっくり申し上げると塾ですが、われわれとしてできることを常に考えています。その一つとして、補習校さんとパートナーシップを組ませていただいて、土曜日に私たちの校舎で補習校の授業を受け持っています。さまざまな経験を踏まえて、今日はお子さまの進学について、ご質問にお答えする形式でお話させていただきます。

― 多言語への取り組み方について教えてください。

香港にいらっしゃる日本人のお子さまに一番大切なのは言語教育だと思います。私がポイントにしているのは、母語が確立しているかということです。母語がしっかりしている場合には、ほかの言語もしっかりしている傾向がありますので、できるだけ学齢が若いうちに、いずれかの母語を確立しておかれると良いでしょう。

香港ではインターナショナルスクール(以下「インター」という)に入られるお子さまも多いです。
そこでは、学齢が若ければ若いほど、日本語力の担保をどうしていくかが非常に重要になってきます。母語は英語でも良いと思いますが、日本人のご両親であれば、ご家庭の言語は日本語であることが多いと思いますので、やはり日本語を母語にしたほうが良いと思います。

また、母語を英語にされる場合でも、ご両親のうちのどちらかが日本のバックグラウンドをお持ちなら、細々とでも日本語の学習はしておいた方がいいと思います。お子さまが高校生ぐらいになると、ご両親のどちらかが日本人であるということで、日本に興味を持ち始めるお子さんも多く、それでも海外の大学に行く子もいますが、そうでない子も案外少なくありません。

epis Education Centre 仲田敬之さん
epis Education Centre
仲田敬之さん

― 子どもの日本への帰国のタイミングはいつが良いですか?

日本に帰られるのは、学校が変わるタイミングが一番良いと思います。小学生なら中学校、中学生なら高校に上がる時期ですね。編入の場合は、どうしても学校の選択肢が少なくなってしまいます。

日本への帰任の時期が学校のタイミングとずれていた場合は、お母さまと先に帰られるか、または、お子さまの卒業までお母さまと香港に残られる方が多いです。最近は、中学受験に合格すると香港に戻っても席を残せる学校もあります。

高校の場合も、日本には古文などがありますので編入のハードルは高いです。ご家庭のお考えもあると思いますが、寮に入るという選択肢もあります。寮のない学校の場合は、学生会館というのがたくさんありますし、学生マンションなどを利用される方も多いです。

― 小学生におすすめの夏休みの過ごし方はありますか?

日本には、理科の実験などを組み合わせたサマーキャンプなどがあります。これは、日本の小学生と交われますので面白いと思います。受験のことを心配しないのであれば短期留学も魅力です。

epis Education Centreでは、都道府県別にご当地B級グルメなどを調べて、ガイドブックを作るなどの活動をしています。そういうことを通じて、日本の小学生が知っているようなことを教えてあげることが大切だと思います。

― インターナショナルスクールの子どもの特徴を教えてください。

一言で言うとすれば、天真爛漫な子が多いと思います。今、お預かりしているお子さまの7割がインターに通っています。そのうちご両親のどちらかが日本人でない方が半分以上いらっしゃいます。日本の教育をご存知の方がご覧になると、むちゃくちゃに見えることでしょう。

でも、実は学ぶ姿勢がとても強い子が多いです。言い方は良くありませんが、日本に比べてすれた子が少ないです。その理由は、おそらく学校教育の違いにあります。探求させるような教育が多く、算数でも答えより過程を大事にします。ただし、日本式の礼儀などは、ご両親がその都度教えてあげなければわかりません。

熱心に講義して下さいました
熱心に講義して下さいました

― 日本の私立高校の帰国生受け入れの現状を教えてください。

日本の学校も変わりつつあって、国際的な感覚を持った子たちを入学に結びつけることに、かなり力を入れている学校が多くなっています。帰国枠を持っている私立の学校は、5月~6月ぐらいから香港に来て説明会をしています。

これは中学も高校も大学も共通で、いわゆる日本の名門校と言われる学校もかなり香港へ来ています。
そういう意味で、受験情報は香港でも日本と遜色ないぐらい収集できます。学校見学はどの学校もウエルカムで、海外生は丁寧に案内してくれます。事前にメールでコンタクトすると良いでしょう。

― 日本の大学入試のために何を準備したら良いでしょうか?

日本の大学も変わりつつあって、多くの大学で帰国枠を設けて帰国生入試をやっています。入学は基本的に4月です。入試は、インターの現地校に合わせているので、前年の9月から始まります。

一番最初に上旬から早稲田大学の入試が始まります。早稲田大学の場合、英語の試験はTOEFLで一本化していますので、以前よりハードルが高くなっています。公表されていないので何とも言えませんが、目安としては120点満点中90点以上はないと厳しいと思います。

次に慶應大学の入試が始まります。慶應大学の場合、ほとんどの学部でSAT※1が必要です。合格は学校成績と英語力でほぼ決まると思ったほうがいいでしょう。ですのでインター歴が短い方は、結構厳しいと思います。現に合格している子のほとんどが、アメリカ・イギリスの現地校の子が多く、香港・アジアのインターの方も、英語が第一言語でネイティブに近い子たちが多い気がします。また、行きたい学部の専門分野は、ある程度教養として身に付けておくことも大事だと思います。例えば、経済学部であれば、ベーシックな経済学の知識を面接で聞かれたりすることがあります。

そのあとは、首都圏ではGMARCH※2、関西ですと関関同立※3の入試があります。国公立では、横浜市大、横浜国大が11月ぐらいから、国公立としては早めに始まっていきます。横浜市大は、小規模大学の世界ランキングがかなり高いです。

年が明けて2月ぐらいから旧帝大と言われる大学が始まります。難度で言うと、東大・京大・一橋あたりは、かなり厳しいですが、実は旧帝大でも東北大や九州大などの地方の国立大学は、帰国生集めに苦労しているので、変な言い方ですが、狙い目ではあると思います。一般受験の場合は数学や物理など、日本の独特のカリキュラムに合わせないといけませんので、帰国生の場合は、帰国枠で受けたほうが絶対に有利だと思います。

9月入学は、まだ少ないですが増えてきています。入試は英語で事前に書類を提出する方法が多く、要するにアメリカやイギリスのアドミッション※4に近い感じだと思います。授業はすべて英語で行われます。

以上です。一部お答えできなかったご質問もございますが、私の話はこれで終わります。少しでもお役に立てれば幸いです。ありがとうございました。

※1 大学進学適性試験
※2 明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学、学習院大学を意味する
※3 関西大学・関西学院大学・同志社大学・立命館大学を意味する
※4 各大学の選考基準に基づいて、学力試験を課さず、高等学校における成績や小論文、面接などで人物を評価し、入学の可否を判断する選抜制度

参加者の皆さんも真剣です
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