一般的に日本の面接は企業側が面接者に多くの質問をし、最後に面接者が企業側への少し質問をするという流れが多くみられます。一方、香港での面接は企業側と面接者はあくまでも対等であるため、企業側が面接者に質問を行ったあとに、面接者も企業側に職務内容などの質問を行い、条件などを確認しながら進めていくことが一般的です。
面接時の言語ですが、香港での面接は日系企業であっても英語でおこなわれることが多く、面接官が日本人であるとは限りません。中国語を話せる人材を求めている企業では、中国語での面接がおこなわれます。企業が求める外国語での面接に対応できるようにしっかりと準備をしましょう。
また、日本のように面接の際に適性試験を実施する企業は稀です。しかし専門知識を必要とする職種では簡単なテストが行われることもあるので、心配な方は事前にキャリアアドバイザーに確認するのが良いでしょう。面接時の服装や身だしなみ
企業は「面接者がどのような人材なのか」をみていますので、第一印象を大きく左右する服装や身だしなみは重要です。香港ではカジュアルな服装で面接に訪れる方もいますが、男性はスーツ、女性はスーツまたはビジネスシーンにふさわしい服装で面接に訪れてください。(リクルートスーツで面接に訪れる必要はありません。)なお、スーツを着用しない企業であっても、面接時はスーツを着用して面接に訪れることをお勧めします。
身だしなみのポイント
- 清潔感
- 清潔感は人と接する上での最低限のマナーだといえます。気にすべきは服装だけではなく、髪型、メイク、爪、かばん、靴下、靴の先まで気を抜かずに身だしなみを整えておくことが大切です。
誠実さや信頼感をあたえられる服装も心がけてください。
- 服装
男性の基本はスーツ、シャツ、ネクタイです。髪型を整えておくことも忘れないでください。個性を主張するのではなく、良い印象をあたえることを意識した服装を心がけましょう。
女性の基本もスーツであり、スカートでもパンツでも構いません。ビジネスにふさわしい服装であればスーツでなくても良い印象をあたえることが出来るでしょう。メイクはナチュラルメイクを心がけてください。
また、業種や職種を踏まえて服装を選択するテクニックもあります。例えばフッション関連の会社では少しお洒落をしても良いかもしれませんが、逆効果とならないように注意する必要もあります。
面接前に役立つチェックリスト
面接日が近づくと面接に向けた準備に漏れがないか、他に何かすべきことがないか、などを悩んでしまう方が多いようです。そんな時に役立つ、面接直前にチェックすべきリストを以下にご案内します。
- 事前の確認事項
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- 企業ホームページ(業務内容、会社概要、代表メッセージなどを確認)
- 求人情報や募集要項(企業が求めている人材を確認)
- 面接会場の場所、行き方、所要時間の確認
- 面接に着ていく服装と持ち物の確認と準備
- 持ち物リスト
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- 筆記用具、ノート(面接中に必要なことがあればメモを取りましょう)
- 英文レジュメ(英語の履歴書と職務経歴書)
- 日本語の履歴書と職務経歴書(日系企業の場合のみ)
- あると良い持ち物
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- リファーラルレター(前職から発行される紹介状や雇用証明)
- 取得している資格などを証明する書類
- スキルや実績を確認できる成果物や制作物(クリエイティブ系の職種は重要)
面接の流れと成功の秘訣
- 面接会場に到着
- 面接会場となる事務所のビルには、最低でも10分~15前に到着できるようにスケジュールを立てることをおすすめします。事前に行動すると遅刻を防げるということ、気持ちを落ち着かせること、面接で話す内容を確認するなどができます。携帯電話は、マナーモードまたは電源のOFFも忘れないでください。
- 面接会場への入室
- 面接会場となる事務所には5分前に到着するのが良いでしょう。
受付の方の言語に合わせて「○時に面接の予約をしている◯◯と申します」と挨拶をし、面接会場に入室の際は「失礼します」や「有難うございます」としっかり挨拶をしましょう。
面接官にも「◯◯と申します。本日はよろしくお願いいたします。」と挨拶をして着席の指示を待ちましょう。
- 面接開始と退室
- 着席後は履歴書などの要求された必要書類、ノートやペンを出して面接を受けましょう。
面接官の目をみてハキハキと話し、自然な笑顔で話すことも第一印象アップのポイントです。
面接が終了したら面接官へ「本日はお時間をいただき有難うございました」とお礼をして席を立ち、オフィスの外に出るまでは気を抜かないで下さい。
- お礼メールの送信
面接後はお礼メールを送信して入社への意気込みや感謝の気持ちを伝えましょう。送信時間は採用担当者がメールを開封する時間帯(一般的に翌朝、休日の場合は翌営業日の朝)が良いでしょう。お礼メールはライバルとの差別化にもつながり、実際にお礼メールをきっかけに採用を決定したという企業からの報告もあります。お礼メールの例文は以下となります。
■件名
面接のお礼 〇〇〇〇(名前)■本文
〇〇〇〇 Limited(会社名)
〇〇 〇〇様(担当者のお名前)面接をして頂きました、〇〇(名前)と申します。
この度はお忙しい中、貴重なお時間をいただき有難うございました。ご説明いただいた貴社のビジョンや事業内容に魅力を感じており、
これまで培ってきた知識と経験を活かして
即戦力として貴社に貢献したいと強く考えております。簡単ではございますが、面接のお礼とさせていただきます。
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何卒宜しくお願い申し上げます。
名前:〇〇〇〇
メールアドレス:〇〇〇〇
電話番号:〇〇〇〇
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面接の定番質問
面接で聞かれるすべての質問を把握することは困難なので、定番の質問に対する回答をできるように準備を進めてください。面接で聞かれる質問には必ず意味があり、質問の意図を理解することで、別の質問にも応用することができます。質問への回答は、相手が知りたいと考えるポイントを押さえて手短に回答することが大切です。
- 自己紹介をお願いします。
- コミュニケーション能力をチェックしています。仕事や趣味などの話をするのではなく、氏名を名乗り応募企業でPRできる学歴や職歴を1分程度にまとめましょう。
- 性格について教えてください。
- パーソナリティーをチェックしています。自身の性格を自己分析したうえで、仕事をする上で大切にしていること、どんな仕事でやり甲斐を感じるかなどを前向きに話しましょう。
- 長所と短所について教えてください。
- 特にあなたの短所を確認するための質門です。あなたの短所が業務に支障を与えるような回答は控えましょう。重要なポイントは短所の有無ではなく、短所をどのように改善しているかを伝えることが大切です。
- 語学力はどのように身につけましたか。
- 海外で働く上で語学力のアピールは有効です。英語や北京語や広東語などが話せる場合は、どのように学んできたか、そして今後どう活かしたいかを説明しましょう。
- 趣味や特技は何ですか。
- 業務に関連のない質問は、企業があなたに関心を持っている可能性があります。趣味や休日の過ごし方などを振り返り自分の魅力を伝えましょう。
- 過去の職歴・経歴を教えてください。
- 過去の経験がどのように生かせるのかを企業が見極めます。すべての職歴や経歴を話すのではなく、アピールとなることを簡潔にまとめて伝えましょう。
- 仕事で誇れる実績や成功体験はありますか。
- 過去の実績や成功体験は履歴書や職務経歴書に記載していると思いますが、このような質問がおこなわれた場合は、具体的な内容や数字を交えて回答すると良いでしょう。
- 以前の就労先の退職理由を教えてください。
- 退職理由を確認することにより、あなたの性格やキャリアプランなどを企業が見極めます。やむを得ない事情で退職した場合は、以前の会社の悪口は言わず客観的な視点で伝えることが重要です。前向きな理由で退職した場合は、将来的な展望を踏まえキャリアプランを伝えましょう。
- 仕事での大きな失敗やミスはありますか。
- この質門では失敗後にどう対応して改善したか、そして失敗からどのようなことを学んだかをチェックされます。失敗はマイナス評価ではなく、成長の糧として評価されることもあります。実際に経験したことを分かりやすく説明しましょう。
- 転職理由を教えてください。
- 前職(現職)に対する不平不満はNG。前向きな転職であることを考えて伝えましょう。前職(現職)の経験が生かせるキャリアプランや将来の夢を語りましょう。
- 当社の志望理由を教えてください。
- 香港で求められる人材の多くは即戦力。応募企業をできるだけ調査し、即戦力となる知識やスキルがあることをアピールしましょう。この企業でなくてはいけない理由を考えましょう。
- なぜこのポジション(職種)に応募したのか。
- あなたが求人要項に満たしている人材なのかをチェックします。香港は募集ポジションが明確になっていることが多いため、事前に業務内容や募集条件などを確認し、自身のキャリアプランに沿うように説明しましょう。
- 当社の製品やサービスのどのような点に興味を持ちましたか。
- 応募した企業の商品やサービスは可能な限り詳しく調べましょう。もし以前から知っていた場合はより詳しく、知らなかった場合は素直に伝え、どのような印象を受けたのか述べましょう。
- 当社でやりたいことはありますか。
- 求職者の長期ビジョンや会社への帰属意識などをチェックします。ホームページなどで企業ビジョンを確認し、採用2年、3年後にどのように活躍しているかも含めてやりたいことを話しましょう。
- 香港を選んだ理由は?どのようなところが好きですか。
- 企業は香港に長く住んでくれることを期待しているので、香港の魅力などを自分なりに調べて話しましょう。
- キャリアプランはありますか。
- 採用をした際に、あなたのキャリアプランが実現できる会社かを企業側が見極めます。素晴らしいキャリアプランを持っていても、企業の方向性と合わない場合は相応しい人材にならないため注意が必要です。
- 将来の夢は何ですか。
- 企業はあなたの人生観や仕事観を見ています。人それぞれ夢は異なりますが、企業は採用後のキャリアの延長線上で夢が実現できることを理想的に考えています。
- 過去の給与と、希望する給与を教えてください。
- 香港では必ずと言っても良いほど給与の確認をおこないます。過去と希望の給与がかけ離れていたり、業界や職種の相場に合わない場合、採用の可能性が低くなります。過去の給与については、以前の雇用主に連絡をすることもあるため、嘘を付くのは止めましょう。
- 入社可能な時期はいつですか。
- 一般的に求人募集は業務拡大や欠員が出た時におこなわれるため、企業はすぐに入社できる人材を優先します。採用タイミングを逃さないよう、事前にリサーチしておくことが大切です。
- 最後に何か質問はありますか。
- 日系企業では必ず聞かれる質問であり積極性が判断されます。日本ではあまり質問しないことが一般的ですが、香港では「職務内容詳細、勤務時間や休日、福利厚生など」疑問に思うことがあれば随時質問して問題ありません。なお待遇(給与)については、面接後にオファーが来てから交渉することが一般的です。