第5章:傷病手当

傷病手当を受給できる権利

継続的雇用契約にもとづき雇用されている従業員は、以下の条件をみたす場合傷病手当を受給することができる。

  1. 傷病休暇が連続4日以上の場合(ただし、女性従業員が妊娠検査、出産後の治療または流産のために女性従業員が休業する日は、傷病休暇の日として数え、以下の条件を満たす時は傷病手当を支払わなければならない)。
  2. 傷病休暇が適切な診断書によって証明されている場合(以下の「有給傷病日の2つの分類」を参照)。
  3. 従業員が、取得に十分な有給傷病日を累積している場合(以下の「有給傷病日の累積」と「有給傷病日の2つの分類」を参照)。

以下の条件下では、従業員に有給傷病日は付与されない。

  • 正当な理由なく、認定医療制度のために指定した医師による治療を従業員が拒否した場合または、その医師の指導に従わない場合(雇用主が認定医療処置制度を導入している場合で、その医療機関が専門分野をカバーしていないとき、従業員は登録医、登録中医または登録歯科医師に相談することを選択することができる)。
  • 従業員が法定休日手当を受給できる日と傷病日が重なった場合。
  • 労働者災害補償法により補償が支払われる場合。

傷病手当

傷病手当の1日あたりの金額は、指定日の直前12ヶ月に従業員が受給した1日あたりの平均賃金の5分の4に相当する額である。もし従業員が12ヶ月より短い期間しか雇用されていない場合、その短い期間で計算する。

傷病休暇の日数 指定日
1日の場合 傷病日
連続2日以上の場合 傷病休暇の初日

注意:平均日給の計算では、次の(i)と(ii)を除外して計算する。

(i) 一部の賃金または全部の賃金が従業員に支払われなかった期間
  • 休息日
  • 法定休日
  • 年次有給休暇
  • 傷病休暇の期間
  • 女性の産前産後休暇
  • 男性の育児休暇
  • 労働災害による休暇
  • 雇用主の同意を得た休暇
  • 雇用主から仕事を与えられなかった通常の勤務日
(ii) 当該期間に従業員に支払われた金額
  • (詳細は別紙1を参照)

傷病手当は、通常の賃金支給日までに支払われなければならない。

違反と罰則

正当な理由なく傷病手当を付与しなかった雇用主は起訴され有罪となれば、最大5万香港ドルの罰金刑に処せられる。

有給傷病日の累積

継続的雇用契約にもとづき雇用されている従業員は、有給傷病日が累積される。雇用された最初の12ヶ月間は1ヶ月雇用される毎に2日ずつ累積し、2年目以降は1ヶ月雇用される毎に4日ずつ累積される。有給傷病日は最高120日まで累積される。

有給傷病日の2つの分類

有給傷病日は、2つに分類される。

  • 36日まではカテゴリー1に累積される。
  • その後、84日まではカテゴリー2に累積される。
分類 合計日数 有給傷病休暇の受給条件
カテゴリー1 36日 登録医、登録中医または登録歯科医による診断書がある場合
カテゴリー2 84日
  • カテゴリー1の有給傷病日数を超えて有給傷病休暇を取得した場合
  • 雇用主の要求があった場合、外来または入院の際に診察した登録医、登録中医または登録歯科医による診断書(*)を従業員が提出しなければならない。さらに、雇用主の要求があれば、従業員は実施された検査および処置の簡潔な記録の提出をしなければならない。
(*)診断書には、病気や怪我のために従業員が働けない日数を記載しなければならない。

傷病日の記録

雇用主は以下の記録を保存しなければならない。

  1. 各従業員の雇用開始日および雇用解除日
  2. 各従業員により累積されたカテゴリー1およびカテゴリー2の有給傷病日数を含んだ全ての有給傷病日数
  3. 各従業員によって取得された有給傷病日数、および各カテゴリーの合計有給傷病日から控除された有給傷病日数
  4. 傷病手当の支払い金額、および傷病手当が支払われた傷病日の日付
従業員が職場復帰した日から7日以内に、傷病日の記録に従業員が署名しなければならない。また従業員には傷病日の記録を確認する権利がある。

有給傷病休暇中の雇用保障

従業員が重大な不法行為を犯したことによる懲戒解雇の場合を除き、雇用主が有給傷病休暇を取得している従業員を解雇してはならない。

違反と罰則

上記の規定を遵守しない雇用主は、最高10万香港ドルの罰金が科せられる。雇用主は次の金額を雇用契約終了から7日以内に解雇した従業員に支払わなければならない。

  1. 解雇予告手当
  2. 補償金(**)として7日分の賃金に相当する金額
  3. 従業員が受け取ることができる傷病手当の全額
(**)計算方法の詳細は別紙1を参照
雇用条例に定められている有効な理由以外で従業員が解雇された場合、従業員は雇用の保護に関する救済を雇用主に請求することができる。
(詳細は第10章「雇用保護に対する要件および救済」を参照)

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